2004年 08月 29日
GOTH[乙一] |
コレ読んだからってボクはゴシック系にはまってる訳ではないのです。昔は微妙だったけど。
元々、乙一さんの小説は好きなので。
一番最初に読んだ夏の花火と私の死体はコレを16歳が書いたって事に驚愕して、暗いところで待ち合わせには相当に泣かされました。
そんな訳でボクの好きな作家さんのひとり。
わかりやすい文章で書かれてるのに、心の機微とか描写がメチャ丁寧で、読むたびに少しずつ心が波立ってくる感じ。
この人の世界でよく書かれてるのが静かな世界って言うか、人の純粋で繊細な感情の部分によくスポットを当てていて、こっちもその静かでキレイな世界に入りこんだように胸を突かれる。
最後にちょっとビックリさせられるトリックもあったり。このトリックが、犯人が誰だとか密室トリックがって言うんじゃなくて、この人の視点で描かれてると思ってたら違う人物だったって言うのが後でわかったり、そう言う感じのトリック。最初ッから最後まで騙されてるんだけど、気付いた時はもーにやにやしっぱなし。
今回のGOTHはなんか乙一さんがよく言われてる”せつない系”じゃない作品らしいんだけど、ボクは特にがっかりするような事もなく毎度のごとくしんみりしたりにやにやしたりして、メチャおもろかった。全体的に黒い気持ちが描かれてるんだけどね。
6話編成の1話完結。
Ⅰ.暗黒系
Ⅱ.リストカット事件
Ⅲ.犬
Ⅳ.記憶
Ⅴ.土
Ⅵ.声
記憶は昔見た二花子の瞳って自主映画を思い出した。
ストーリーは全然違うんだけどね。
姉妹が楽しく遊んでるのを映像にするとあんな感じなんだろーなーと。
多分、まだopenArtってサイトでフリー公開されてるはず。
全部胸を締め付けられる思いをしたり、丁寧な描写が心地良かったりしてたんだけど、やっぱ一番好きなのは 声。
姉を失った妹の話なんだけど、その姉のいなくなった事による空白や虚無感を押し込めた感情とかが胸に刺さる。
後書きに人間が回復する話しか書いてないって言ってたけど、そこに至る前の失った部分を丁寧に描いてるところがこの人の魅力だと思う。
そんでもって、ヤッパリ最後まで気持ちよく騙されてました。
小説の方読み終わったんで、漫画版の方を買いに行かなきゃ。
大岩ケンジさんの漫画はNHKにようこそを読んだだけなんだけど、コレはおもろかったんで。
滝本竜彦さんの原作も飛んでてオモロかったんだけどね。
GOTHは9割シリアスなんでどうなんだろー。
by crazy-hey
| 2004-08-29 14:10
| 小説